新春のご挨拶

当院が長与町に新築移転して2年8か月経過しました。2024年、令和6年の新年を迎えるに当たり、長与町、西彼杵郡の皆さんから支持いただき、旧病院時代の外来数は増加して約2倍になりましたこと、感謝の念でいっぱいです。一方、入院患者は常に108床満床に近い状態が連日続いています。病床数を増やしたいところですが、地域医療構想から長崎医療圏のベッド数は過剰と判断されており増やすことは出来ません。その為、限られたベッド数での運営を余儀なくされており、かかりつけの患者さんの緊急入院をお断りする事態が生じていますことを最初にお詫び申し上げます。

長崎医療圏は昭和の時代から救急輪番制度を敷いています。当院にも昨年、輪番に入らないかと行政から依頼がありましたがお断りしました。輪番に入りますと輪番日に空床を作って準備しておく必要があります。また4日に1回輪番日には多くの患者を受け入れる為、ベッドだけでなくスタッフも準備しておく必要があり、非輪番日に比べてどうしても過重労働になってしまいます。宿直許可を労働基準監督署から得ている当院は内科系1人、外科系1人を毎日準備して救急対応に当たっています。輪番で救急車が頻回に来る日、非輪番で救急車がほとんど来ない日と救急患者が日によって変動があるよりも、毎日一定数の救急患者が来院する方が労働条件の上でも対応がし易く、それに長年、当院が慣れています。敢えて輪番には入らず、輪番病院が受け入れ出来ない患者さんを当院が受ける、グレーな領域を担当するのが当院の役目と考えます。

長崎医療圏内の救急隊員は毎回、患者の受け入れ病院を探す為、1病院毎に電話をかけて受け入れ状況を確認しています。受け入れ困難な事案もコロナ禍以降、数多く発生するような状況になっています。当院ではベッドの空き状況をリアルタイムに救急隊本部へ連絡して、可能な限り、満床になるまで受け入れる方針をとっています。我々が独自のスタイルに長年慣れているのと同様に、輪番病院は輪番制度に長年慣れており、システム変更に慣れるのは難しいでしょう。しかし、2024年にもなって救急隊員が電話で連絡をとるスタイルではなく、各病院がベッドの空き状況を常時報告し、それをタブレット端末で救急隊員が確認して空いている病院へスムーズに搬送できるシステムが理想です。実際、このシステムを導入している自治体が九州内にもあります。ベッドの空床状況の透明化、いずれは長崎医療圏も移行していくことが望ましく、近い将来そうなることを私は切に願っています。

新型コロナ感染症が5類に移行し、忘年会、新年会を久しぶりに当院でも行うことが出来るようになりました。一方、世界に目を向けるとウクライナ、ガザ地区での戦闘が続いており、衝撃的なTVニュースの映像をみると心が痛みます。今年は世界が少しでも平和なベクトルに進むように願ってやみません。

2024年(令和6年)1月院長 鬼塚 正成