病床回転率を上げ救急車を受け入れる 後方施設と連携して入退院管理を徹底
~改善すべきは改善し地域でリーダーシップ発揮~
西彼杵郡長与町に新築移転し、もうすぐ5年が経ちます。移転時はコロナ禍で、長崎医療圏で救急輪番病院に入っていなかった当院に、輪番病院に入ってほしいと長崎市から依頼がありました。「当院はベッドが空いていれば、いつでも救急車は受ける。輪番日は受けても非輪番日には救急車を受け入れませんでは、徳洲会として恥ずかしくないか」。8時会で私の考えを職員に伝え、理解を得ました。
地域の介護施設ではAIを活用し 夜間搬送か翌朝まで待つか判断
輪番を断ると、今度はコロナ輪番というシステムをつくろうとする市の会議の場で、意見を求められました。輪番をつくるよりも空きベッド数を公開し、空いている病院がコロナ患者さんを受けるのが筋であり、輪番をつくる意味がないと発言しました。結局、このコロナ輪番制は廃案になりました。そんな当院に昨年、長崎救急医学会の主幹になってほしいという依頼が来ました。当院が選ばれた理由は聞かずに受けましたが、コロナ禍で当院が積極的にコロナ患者さんを受け入れてきたことが、地域で評価されたのだと好意的に解釈しています。
長与町内の介護老人保険施設では夜間、状態が悪い入所者さんが出ると、バイタルサインをモニタリングし、夜間に救急車を呼んで病院へ搬送すべきか、翌朝まで待つかの判断をAI(人工知能)に委ねています。多くの場合、翌朝まで待って施設担当医である開業医へ相談し、開業医から当院へ肺炎、心不全、尿路感染の入院依頼が来ます。夜間、施設からの入院依頼は減り、日中、マンパワーがある時間帯に依頼が来て助かっています。「夜間の救急車を適正に利用してほしい」という声が聞かれるほど、努力している施設の活動を知ってもらうため、9月に開催する同医学会で施設担当者に講演をしていただくよう依頼しました。当院は周辺施設の努力に応えるべく、いつでもベッドを空けて準備していなければなりません。当院の入院患者さんの7割は自宅退院ですが、3割は施設入所や転院となるため、出口戦略も考える必要があります。
家族面談に多様性を持たせる 急性期病院の出口戦略に重要
いつの頃からでしょうか、全国的に転院や施設へ移動する前に、家族面談を求められることが多くなりました。ご家族の都合で面談日が決まらず、退院ができる状態であるのに、転院調整は遅れることが度々あります。その実態を知りたいと思い、昨年、関連病院・施設にアンケートをお願いしました。
長崎医療圏25施設、徳洲会グループ52施設から回答を得ました。①全ての家族に面談を行なっているか? Yes37件、No10件、必要な家族だけ行なっている26件。②何のために面談をしますか?(複数回答可)A.家族とのトラブル回避63件、B.急変時の対応について確認53件、C.設備、スタッフの配置について周知47件、D.余裕を持って入院調整ができる27件。③別の方法を選ぶことはできるか?(同)A.電話33件、B.Web面談32件、C.病院間の連絡を徹底させる24件。④面談は平日のみか、土曜日も可能か? A.平日のみ24件、B.土曜も可43件。⑤家族面談は今後も必要か? Yes51件、No1件、必ずしも全ての家族に必要ない16件。⑥面談の弊害は? A.面談の日程が遅れ転院が遅れる31件、B.家族が有休を取得し面談する家族の負担増23件、C.弊害を感じない35件。
今回、アンケートに協力いただいた病院・施設の皆様に感謝申し上げます。家族面談ありきではなく、家族が遠方に在住、多忙、身体的障害あり、身寄りなしなどの諸事情を総合的に考慮し、電話、Web面談、病院と受け入れ施設間での話し合いなど、家族面談に多様性を持たせることが必要です。急性期病院にとって転院や施設退院までの待機期間を短くし病床の運用を上げることは、経営上、重要な出口戦略となります。当院から転院する療養型病院の中で紹介患者数が1位、2位の病院は家族面談を廃止しました。3位の病院の院長は廃止に賛成でしたが、看護部から反対され継続しています。
当院は急性期78床、回復期30床ですから、病床回転率を上げて救急車を受け入れていくには入退院の管理が最重要です。後方支援病院や施設の実情を理解し、話し合いながら改善すべきところは改善し、当院が地域の中でリーダーシップを発揮していく覚悟です。皆で頑張りましょう。
2026年(令和8年)4月院長 鬼塚 正成






