徳洲会病院を北から南まで見学し 取り入れるべきところはすぐ導入
~自分たちの病院に合うようにアレンジも~

長崎北徳洲会病院 院長鬼塚 正成

札幌南徳洲会病院の旧病院を見学した時、緩和ケア病棟にクリスマスに向けて飾り付けがしてあり、一般病棟とは明らかに違う雰囲気を感じました。現在の当院では回復期病棟がこれに近いでしょう。庄内余目病院から毎月送られてくる広報誌『あまるめ~る』の冒頭に、寺田康院長の言葉があり、現地の人との交流が毎回書かれています。誌面での情報発信はネットに疎遠な高齢者の方に、外来の待合室で手に取って読んでもらえ、貴重です。それにしても毎月書くネタが尽きないもんだと感心しています。

スマホを用いた発熱外来を開始 患者さんの3割がリピーターに

当院の入院患者さんの透析を開始するにあたり、山形徳洲会病院の笹川五十次院長に院内を案内していただき、イメージすることができました。他県から依頼もある透析入院患者さんの院内移動では、エレベーターでの移動時間割を決めないと渋滞が起こってしまいます。当院の透析患者スケジュールは、渋滞しないように臨床工学技士が時間割を決めています。QI大会で湘南藤沢徳洲会病院の発熱外来でのスマホ問診を知りました。これを当院で導入すべく業者の選定に取りかかりました。スマホやタブレット端末を利用した医療に慣れていかないと、時代の波に乗り遅れてしまいます。しかし、コストをかけた分、売り上げがないと意味がありません。職員の負担軽減につながることも理想です。

2022年8月に当院はスマホを用いた発熱外来を開始しました。発熱外来で当院を知った患者さんの約3割が、その後、外来を受診、大切な当院外来のリピーターとなっています。名古屋徳洲会総合病院では心臓血管外科で手術を受けた患者さんの友の会があり、患者さんとの交流があります。長崎地方にも透析患者さんの会があり、我々は新病院で透析を新たに開始する前に患者会と面談して希望を伺いました。私は新病院開院前に福岡徳洲会病院で透析研修を行い、移転直後から入院患者さんを受け入れました。宇和島徳洲会病院泌尿器科の小川由英部長とWEB回診で相談しながら、ここまで来ましたが、先月から透析専門医が入院患者さんの診療にあたり、今年は外来透析を開始すべく準備しています。

岸和田徳洲会病院に当院職員数人で見学に行った際、8時会から参加しました。当院の8時会は岸和田式にスタイルを変更していますが、大隅鹿屋病院では坂口勝章事務長が経営状況を8時会で説明、各部署の責任者がスライド数枚を出してスタッフに告知しているのを見て、当院も早速取り入れました。屋久島徳洲会病院の診療応援に行った当院医師が薬を処方する際、正規の商品名とジェネリック名が併記してあり、どちらを入力してもよく、これは便利だと感心し当院も導入しました。中部徳洲会病院には多くの医師事務作業補助者、病棟クラークが働いており、休憩場所が確保されていました。当院が新築移転後、野中孝一副院長から医局で働く女性のために、医局から離れたスペースに休憩室を設置しようと提案された時、同院で見学した光景を思い出しました。確かにずっと医局にいたら気分転換できないでしょう。

かつてグループ病院だった川南病院からは出張インフルエンザ予防接種のノウハウを学び、8年経過しました。当院移転の2年前から長与町住民が多く勤務する会社に出張予防接種に出かけて親しくなりました。移転後、その会社に勤める長与町民の方々が当院の検診受診者となって来院されました。宿輪三郎副院長が毎日、内視鏡検査をして検診部門を盛り上げています。

看護師の動線を優先し1階設計 外来患者数は旧病院の1.6倍に

多くの徳洲会病院が採用しているように、外来診察室の間を看護師が自由に動けるよう、動線を優先し1階を設計しました。外来患者数は旧病院の1.6倍に増加しました。

我々はグループ内の病院見学を行い、取り入れるべきところはすぐに導入、自分たちの病院に合うようにアレンジしています。当院発の業務改善につながる工夫、研究してきた内容を全国レベルの学会で発表する場を今年から増やしていきます。軍艦島のような旧病院では自分の病院に自信を持てなかった職員も、2年8カ月経過して少しは自院に対する自信が付いたのではないでしょうか。最後になりましたが、同じ地平に被災者の方がおられることを心の隅に置き、皆で頑張りましょう。

2024年(令和6年)2月院長 鬼塚 正成

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