院長挨拶

長崎北徳洲会病院 院長鬼塚 正成

災害と感染に強い新病院を目指す
過去と現在の職員全員に感謝の念
~町唯一の救急指定病院として期待に応える~

軍艦島のように老朽化した築40年の病院に対し、いざ別れが来ると愛着が湧いてくるから不思議です。当院に過去に勤務した職員、現在勤務している職員全員に対し、新築移転を迎えられることに、私はまず感謝の言葉を贈ります。長崎市北部に位置する当院は過去に2度の大きな災害を経験しました。1982年7月23日の長崎大水害、そして昨年末から2月上旬まで続いた新型コロナ院内感染です。

当院は第3波に巻き込まれ、患者さん10人、職員9人が感染しました。コロナ禍でありながらも黒字化していた経営状況は、安全宣言を発するまで救急車の受け入れを停止した影響により、今年に入り赤字へ転落しました。受け入れを再開し久しぶりに救急車を迎えた時、私は医師になって初めて救急隊に対し、「患者さんを運んでくれて、ありがとう」という純粋な気持ちをもちました。

研修医時代から救急病院でしか勤務経験のない私は、救急車のサイレンを聞くと「また来るのか」と感じるのが日常でした。しかし、その日常が崩れると「平凡な日常を早く取り戻したい」と焦り、耐えるしかありませんでした。「明けない夜はない」と言い続けながらも、自信は全くありませんでした。精神的に支えになったのは、予約して外来に再診で来院された患者さん、そのご家族からの激励の言葉でした。「これが新病院でなかったから良かったです。イメージを変えて心機一転スタートできますよ」。

ICTを駆使し町の方々の健康データを一元化し管理

108床と小規模の当院ですが、新病院では新たに人工透析、婦人科と乳がん検診を含めた女性向け検診を開始、また回復期病棟の充実も目玉になります。4月には4人の医師が仲間に加わりました。脳神経外科医が3人に増えたことから、脳卒中を併発し行き先に困っている透析患者さんの転院受け入れ要請がすでに来ています。また43歳の外科医が乳腺の手術を行うなど一般外科も再開します。呼吸器内科医は国立がん研究センターから赴任し、肺炎だけでなく肺がんの外来治療を準備しています。消化器内科医も2人体制となり内視鏡検査が充実、検診の受け入れも脳ドックと並行して増やせます。長崎大学病院からは形成外科に非常勤医が派遣されていますが、麻酔科、産婦人科にも5月から非常勤医が派遣され、診療の幅が広がります。

新病院の敷地面積は2.6倍となるため、病室、休憩所も3密から脱却できます。感染者は救急入り口から一般とは別の動線で病室に入ることが可能になります。新病院が立地する長与町は長崎市のベッドタウンであり、小高い丘の上に建つため、町全体からそびえ立って見えます。長崎大水害で長与町に降った瞬間降雨量は今でも日本一ですが、町は洪水を経験していません。水害に強い街づくりも進み、新病院は丘の上ですから、さらに安全です。長崎は地震が少ないですが、災害と感染に強い病院を目指します。

長与町には各世代の方々が暮らし健康活動に熱心です。歩数計を用い、歩数に応じたポイントを商品券などに交換できるため、町のあちこちで散歩に勤しむ風景をよく目にします。町に唯一ある救急指定病院として健康志向の強い町民の方々の期待にどう応えていくかが、今後の課題です。疾病を来す前にICT(情報通信技術)を駆使し、町民の方々の健康データを一元管理できれば、診療所と当院との連携を密にでき、検診を含めた予防医学に貢献できます。

私たちには困った時に手を差し伸べてくれる仲間がいる

困った時に手を差し伸べてくれる仲間が私たちにはいます。院内感染が発生した時、一般社団法人徳洲会医療安全・質管理部の野口幸洋・課長補佐が大晦日に駆け付け陣頭に立ち、問題解決の道標を提示してくれました。福岡徳洲会病院からは5人の看護師さんが感染対策の指導とマンパワー不足を補ってくれました。さらに長崎は行政、大学、医師会が連携を密にしてコロナ感染対策にあたっており、当院のクラスター(感染者集団)対策にも最初から親身になって協力、指導していただきました。当院は徳洲会グループ、オール長崎からの応援のお陰で最大の危機を乗り越えることができました。5月1日の引っ越しには九州各地から仲間が集まって協力していただけます。次は私たちが恩返しをする番です。

2021年5月

院長プロフィール

院長略歴

1991年長崎大学医学部を卒業。

長崎大学脳神経外科関連病院にて研鑽、マイアミ大学脳卒中・脳血管内治療センターリサーチフェロー、米国医師免許を取得後アイオワ大学神経放射線科脳血管内治療部門臨床フェロー、福岡大学筑紫病院脳神経外科講師を経て2010年10月から長崎北徳洲会病院脳神経外科部長、2015年4月から長崎北徳洲会病院副院長。2018年4月から院長。

資格・専門医

  • 日本脳神経外科専門医・指導医
  • 日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療専門医
  • 医学博士

趣味

Vファーレン長崎のサッカー観戦、剣道6段錬士

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